さて今日は、
商標登録出願をする際に「気にすべきポイント」は、「ブランドの性質」によって変わる
という話をしたい。
つまり、
登録したい「商標」はこれです!
対象の「商品やサービス」はこんな内容です!
よしじゃあ出願だ!
というだけでは、ブランドを作り・育て・活かすという観点からは、少し考えが足りないと思うのだ。
商標の出願戦略を考えるにあたっては、いろいろな「切り口」がある。
だから、今回お話する内容が「気にすべきポイント」のすべてではない。
だけど今回は、作ろうとする「ブランドの性質」を切り口にすると、「気にすべきポイント」にどのような違いが出てくるか、これを一緒に考えてみていただければ幸いだ。
なお、僕は、「ブランド=商標」ではなく、「ブランド≒提供者(売り手)と顧客(買い手)が共有する提供者のイメージ」のように考えているので、「ブランド」そのものと、そのブランドを想起させる要素の一つである「商標」とを、区別して書き分けるので、この点あらかじめご容赦いただきたい。
今回は、「ブランドの性質」を、次のように分けてみたい。
1.コーポレートブランド
ここでいうコーポレートブランドとは、会社自体のブランドとして機能するブランドのこと。
通りがいいので「会社」と言っているが、会社の形をとっていない組織でももちろんいい。
このコーポレートブランドを表す商標は、たとえば、「Google」とか、「Apple」とか、「TOYOTA」とか、「Twitterの鳥のマーク」とか、そういうやつである。
なお、「Apple Pay」のように、コーポレートブランドの商標と普通名称とを組み合わせたものを、プロダクトブランドとして使用する場合もある。
この場合、「Apple Pay」自体はプロダクトブランドの商標だが、「Pay」自体は「支払サービス」との関係では単体で商標として機能するようなワードではないため、実質は「Apple」というコーポレートブランドの商標を、プロダクトブランドの商標にも転用している、といえる。
コーポレートブランドには、次のような特徴がある。
- 会社自体のブランドイメージを担う
- その会社が取り扱うあらゆる商品・サービスのブランドイメージも担う(ことが多い)
- ブランドを表す「商標」が「会社名」と同じであることが多い
このような特徴を踏まえると、コーポレートブランドについて「商標」のことを考える場合、次の点に留意する必要がある。
- 商標のことでトラブルがあっても、そう簡単にはその「商標」を変えられない
- とはいえ商標のトラブルがあったら、会社自体のブランドイメージが損なわれるおそれがある
- その場合、そのコーポレートブランドの下で展開するあらゆる商品・サービスのブランドイメージも損なわれるおそれがある
- そのコーポレートブランドの下で展開するあらゆる商品・サービスの分野(多くの場合、幅広い分野)のすべてにおいて、商標を安全に(他人の商標権侵害とならずに)使用でき、かつ、商標登録できる必要がある
- カバーすべき商品・サービスの範囲が広いので、1つの商標(案)につき4の確認(調査)や登録手続をするには、大きなコストがかかる
- カバーすべき商品・サービスの範囲は、事業展開次第で、どんどん変わっていく可能性がある
- 「A」という名前の会社の設立(会社登記)ができれば、その「A」という名前を商標としても使っていい(他人の商標権を侵害しない)というわけではない
だとすると、コーポレートブランドを表す「商標」は、できるだけ、
他の人がすぐには思いつかないような商標。
つまり、どの事業分野においても、そう簡単には他人と被らなそうな商標。
を採用したほうがよい(費用対効果がよい)と考える。
独自性が高い商標であれば、確率論として、どの事業分野においても「まだ商標権が取られていない」蓋然性が高いから。
また、コーポレートブランドの商標は、カバーすべき商品・サービスの範囲がどうしても広くなるため、将来も見越した全範囲をカバーする商標調査や出願に、起業当初からコストをかけられる企業などほとんどなく、最初は最低限の範囲だけで調査・出願をしておき、事業の状況に合わせて「後追い」で範囲を追加していくしかないのが現実である。
このように、あとで事業分野が変更・拡大され、後追いでその分野の商標登録出願を追加する場合にも、他人と被る蓋然性が低そうな独自性の高い商標を採用していれば、「その分野は先に取られてた!」というリスクを減らすことができる。
逆に、その分野の多くの人が使いたがるようなワードや図形を使った商標をコーポレートブランドの商標として採用すると、「事業が軌道に乗り、さあこれからだ!」というときになって初めて、商標権の問題によりそのコーポレートブランドを使って「事業展開ができない」ということに気づく悲劇にあうリスクが高くなる。
実際僕は、「他人と被る商標」をコーポレートブランドの商標として採用してしまったばっかりに、後々、商標権の問題を解決するために莫大なコストをかけなくてはいけなくなったり、全事業において統一的なコーポレートブランドを活用できなくなって苦労した人たちを見てきている。
ここでいう「莫大なコスト」の中身は、もちろん訴えられたときの裁判コストだけではない。
むしろ裁判沙汰を回避するための方策として、先行権利者との交渉、話をつけるための対価、あるいは先行権利者の権利を潰すための手続、別の商標の再考(これは本来、ブランディングのやり直しを意味する)、商標登録出願のやり直し、宣伝広告物の回収・作り直し、関係者への事情説明など、多岐にわたる。
そこには僕たちのような専門の法律家がサポートさせていただくことが多いので、専門家のプロフェッショナルフィーも含まれる。
そして、金銭的コストだけではなく、解決に至るまでの労力的・時間的コストも無視できない。
もちろん、独自性の低い(通りのよい?)商標をコーポレートブランドの商標として採用したにもかかわらず、特段の問題が起こらずに(あるいは表面化せずに)成長した企業も多々あるだろう。
だがそれはあくまでも運がよかっただけかもしれないし、知られていないだけで裏で紛争解決に苦心していたかもしれないし、金で解決できる資金のある企業だったのかもしれない。
いずれにせよ、もし商標まわりのことでできるだけ余計なコストをかけたくないのだとしたら、後から変えることが最も難しいコーポレートブランドの商標は、「被りにくい独自性の高い商標」を採用するよう努めることだ。
ただし、ブランドづくりの観点からは、ブランディングの根幹である自己の「ブランド・アイデンティティ」に合致する商標を採用することは、必須条件である。
つまり、「ブランド・アイデンティティに合致」し、「被りにくい独自性高い」商標を考えるのだ。
なお、グローバル展開を考えているなら、グローバルに通用する商標をコーポレートブランドの商標として採用すべきだという点も、忘れてはならない。
2.プロダクトブランド
ここでいうプロダクトブランドとは、個々の商品・サービスのブランドとして機能するブランドのこと。
このプロダクトブランドを表す商標は、たとえば、「MacBook」とか、「PIZZA-LA」とか、「プリウス」とか、そういうやつである。
なお、たとえば「Dropbox」のように、コーポレートブランドとプロダクトブランドに同じ商標を採用する場合もある。
プロダクトブランドには、次のような特徴がある。
- 商品・サービス自体のブランドイメージを担う
- コーポレートブランドと共通だったり併用して商品・サービス提供をしない限り、商品・サービスのブランドイメージと会社自体のブランドイメージとを切り分けることができる
このような特徴を踏まえると、プロダクトブランドについて「商標」のことを考える場合、次の点に留意する必要がある。
- そのプロダクトブランドは、コーポレートブランドも兼ねている(将来兼ねる可能性がある)かどうかを意識する(兼ねるなら、留意点はコーポレートブランドに準じる)
- 基本的に、対象の商品・サービス分野において、安全に商標を使用でき、商標登録できればよい
- ただしそれゆえ、対象となる「実際の商品・サービス」が、「(商標の世界における)指定商品・役務」のどれに当てはまるのか、確実に判断しなければならない
- 対象となる商品・サービスの「普通名称」や「単に品質・特徴・用途・内容などを表すに過ぎない語」を商標として採用しがちであるが、そのような語は、単体で商標登録(=独占)が認められないことが多いし、他人の商標との「相違点」として主張することもできないため、独自性のある部分が必要
- 単発ものの商品・サービスが対象となる商標なら、基本的にその商標全体だけ登録しておけば最低限よいが、シリーズものの商品・サービスが対象となる商標なら、そのシリーズ内で共通する部分を切り出して商標登録する必要が出てくる
- もし個別の商品・サービスごとに商標登録のコストをかけたくない場合、個別の商品・サービス名としてはあえて「普通名称」や「単に品質・特徴・用途・内容などを表すに過ぎない語」(誰も商標登録できない語)だけを使い、ひたすらコーポレートブランドをプロダクトブランドとしても使うという作戦もあり得る(ただしこの場合、コーポレートブランドについての商標の手当が万全である必要がある)
大事なのは、コーポレートブランドとプロダクトブランドとをどのような関係性にしながらブランドづくりをしていくか、を早い段階からイメージしておくことだと思う。
これには大きく3つの方向性があり、それぞれ次のようなメリット・デメリットがある。
- コーポレートブランドとプロダクトブランドは全く別の商標を使う。ただし、プロダクトの商取引の際、コーポレートブランドの商標とプロダクトブランドの商標の両方を使う
- メリット:コーポレートブランドとプロダクトブランドとで、それぞれ別個のブランド・アイデンティティを持たせつつ、うまくいけば双方のブランドに対する信用の相乗効果が期待できる
- デメリット:コーポレートブランドとプロダクトブランドのどちらかにネガティブイメージが付いた場合、他方のブランドに悪影響を及ぼす場合がある
- プロダクトの商取引の際は、プロダクトブランドの商標しか使わない(消費者に会社名を意識させない。ex. PIZZA-LA)
- メリット:コーポレートブランドとプロダクトブランドとを分離できる。それぞれに異なるブランド・アイデンティティを持たせ、方向性の異なる商品・サービスを展開できる。一方のブランドにマイナスイメージがついたとしても、他方のブランドに影響しない
- デメリット:そのプロダクトブランドの信用が高まっても、それをコーポレートブランドの信用に転化しにくい
- コーポレートブランドのみを全面に押し出し、各プロダクトには「コーポレートブランドの商標+単体では商標にならない語」という構成の商標を使う(ex. Googleマップ、Googleカレンダー)
- メリット:強固なコーポレートブランドがあれば、新しい商品・サービスを展開する際にも、すでに蓄積した信用を容易に転用できる
- デメリット:会社が取り扱う可能性のある商品・サービスのすべての分野で、コーポレートブランドの商標を安全に使用し、登録できる必要がある
そのプロダクトブランドが、上記のどの方向性をとるものなのかを意識して、その商標の出願方法などを考えることが重要だ。
3.パーソナルブランド
ここでいうパーソナルブランドとは、個人のブランドとして機能するブランドのこと。
このパーソナルブランドを表す商標は、たとえば、「ちきりん」とか、「堀江貴文」とか、「ケイスケホンダ」とか、そういうやつである。
パーソナルブランドには、次のような特徴がある。
- 個人のブランドイメージを担う
- パーソナルブランドの受け皿となる商標的要素は、本来誰もが持っている(たとえば氏名)
- リアルな自分と結び付くパーソナルブランドと、仮想の自分と結び付くパーソナルブランドがある
- リアルな自分と結び付くパーソナルブランドは、良くも悪くもその個人と切り離せない
- 強固なパーソナルブランドを築けば、その個人のあらゆる活動にブランド力を転用できる
このような特徴を踏まえると、パーソナルブランドについて「商標」のことを考える場合、次の点に留意する必要がある。
- 自分の「氏名」も商標になり得るが、同姓同名の他人がこの世にいる限り「氏名(フルネーム)」は基本的に商標登録できない
- 逆にいえば、「自分の氏名(フルネーム)」は、登録せずとも堂々と使える貴重な商標である、と考えることもできる
- ただし、「ペンネーム」や「略称」など、正式なフルネーム以外のものは基本的に商標登録の対象になるので、「商標権」を気にする必要がある
- もちろん「名前」以外の要素もパーソナルブランドを表すものとなり得る。本田圭佑さんでいえば「両手に腕時計をする」とか。ただこういう「行動」みたいなものを独占することはできない
パーソナルブランドを守るために気に留めておくべきことは、すでに潤沢な資金を持っている人でない限り、普通はパーソナルブランドを守るためにそんなにお金をかけられないということだ。
そうなると、基本的に、最初から堂々と使える「自分のフルネーム」をいかにパーソナルブランドの商標としてうまく使用するかが万人に共通のポイントになる。
ただし、この場合に気をつけなければいけないことは、「自分のフルネーム」は良くも悪くもその個人と切り離せないという点だ。
つまり、「自分のフルネーム」は、その下で良い活動をすれば最強の看板になるが、その反面、作られたイメージ(プラスもマイナスもある)の影響がその個人にダイレクトに来る。
僕個人としては、「自分のフルネーム」を掲げ、覚悟を持って大いに人の役に立つ活動をしようと試みることは、結果的に活動の質を上げることにもつながり、大変素晴らしいことだと思っている。
ただもちろん、上記のような影響を避けるため、あるいは他の目的を持って「ペンネーム」などを使い、いい意味でリアルな自分と仮想の自分とを切り離してブランドを作っていくことももちろんアリだ。
この場合、基本的には商標登録を気にする必要がある点には注意が必要である。
4.ソリューションブランド
ここでいうソリューションブランドとは、課題解決のブランドとして機能するブランドのこと。
このソリューションブランドを表す商標は、たとえば、「プラズマクラスター」のような機能を表す商標がわかりやすい。これは、「空気をきれいにする」という課題解決を提供することの期待値がブランド化されているといえる。
また、「ライザップ」は、元々はコーポレートブランドやプロダクトブランドではあるが、「必ず結果を出す(結果にコミットする)」というある種の機能(課題解決)を表すソリューションブランドに昇華され、今や、体を鍛えるトレーニングだけでなく、英会話やゴルフレッスンにまでブランドを転用できている。
ソリューションブランドには、次のような特徴がある。
- 個人・組織・プロダクト自体ではなく、顧客が受ける利益(ソリューション)自体のブランドイメージを担う
- コーポレートブランドやプロダクトブランドなど他の種類のブランドから、ソリューションブランドへと昇華される場合がある
- ソリューションが共通していれば、一度つくり上げたブランドを、別の組織やプロダクトに転用しやすい
このような特徴を踏まえると、ソリューションブランドについて「商標」のことを考える場合、次の点に留意する必要がある。
- 本質的には機能的なものを表象するブランドである一方、商標は「機能」を対象に登録することはできず、必ず「商品・サービス」単位で登録しなければならない
- つまり、顧客が何の「商品・サービス」を通じてそのソリューションを得ることができるかを適切に捉え、その「商品・サービス」の分野で商標登録すべきである
- 本質的には「機能名」的な位置付けで商標を使用したいはずなのだが、商標登録が取り消されることを防ぐためには、商標制度上、登録商標を「指定商品・役務」(対象とした商品・サービス)の商標として使用しなければならない。このため、商標の表示の仕方(見せ方)として、「機能名ともいえるし商品(シリーズ)名ともいえる」ような形で使用すべきことになる
- ソリューションブランドとしての価値が高まれば、そのソリューションを共通にする他の領域にもそのブランドを転用できる可能性があるため、予測できる「商品・サービスの分野」があれば、できるだけ早めにその分野でも商標登録を確保しておくべき
- 商品やサービスの機能・用途・性質などを直接的に表す語は、商標登録できない。ソリューションブランドを表す商標は、これを知らずに「商標登録できない語」を採用しがちなので注意する
- その課題解決手段が、新しい技術や形状である場合、それ自体を特許や意匠登録で一定期間独占できるかもしれない。逆に、特許や意匠登録による独占期間は有限なので、手段を独占している間に強固なソリューションブランドを築ければ、そのブランドを表す商標を商標権で半永久的に独占することで、特許や意匠登録が切れたり手段が陳腐化した後も市場優位が保てる
- そのソリューションが浸透すると、ソリューションブランドの商標が一般的に使われすぎて「普通名称化」してしまうおそれがある。そのため、しっかりと商標登録をし、かつ、他者の無断使用を監視することが必要
強固なソリューションブランドを築ければ、かなり優位にビジネスを進めることができる。
特に、ブランド意識が低くなりがちなB to Bビジネスの企業は、もっとソリューションブランドの形成を意識して商標登録を活用すべきだ。
ソリューションブランドの商標は、魅力的であるがゆえに、他者に真似されやすい。
また、通りの良さを重視するあまり、単なる一般用語・業界用語・技術用語そのままのような名称を商標として採用してしまいがちである。そのような商標はそもそもなかなか登録を認めてくれないため、競合他社が追随して同一・類似の名称を使用してきても、使用中止させることができず、自己のソリューションブランドの受け皿として機能しなくなってしまう。
そのため、商標に独自性を持たせるために少し捻ることが重要だ。
また、登録できるような独自性のある商標であっても、機能名として浸透し過ぎると、次第にそれがあたかも一般用語のように認識されてしまうおそれがある。そこまでいってしまうと、商標登録をしていたとしても商標権を行使できなくなる規定があるため、登録後も市場をウォッチングし、登録商標が市場で使われる際に「〇〇は△△社の登録商標です」と必ずアピールされるように目を光らせておくことが必要である。
5.アドバリューブランド
ここでいうアドバリュー(add value)ブランドとは、他のものに対して信用を付加するブランドとして機能するブランドのこと。
たとえば、「@cosme」という商標。これは化粧品・美容製品の情報サイトの商標であるが、このサイトのランキングに入った商品に対し、ランクインしたことを示す「@cosume」商標の使用を許諾している。
ランクインした化粧品メーカーは、その化粧品について、自社の化粧品ブランドを表す商標に加え、他社のブランドを表す「@cosme」商標をも表示することにより、消費者が見える商品価値を底上げできる。
アドバリューブランドには、次のような特徴がある。
- 自己または自己のプロダクトのブランドイメージを担う
- にもかかわらず、それを他者に活用してもらうブランドである
このような特徴を踏まえると、アドバリューブランドについて「商標」のことを考える場合、次の点に留意する必要がある。
- アドバリューブランドは、B to Bの関係と、B to Cの関係、両方の取引場面に活きていることが多い。たとえば、「@cosme」が化粧品メーカーの商品を掲載するという場面(B to B)と、「@cosme」商標が付いた商品を消費者が手に取る場面(B to C)とがあり、「@cosme」のブランド力は、両方の場面で取引価値を上げることに役立っている
- このため、アドバリューブランドの商標登録の対象とする「商品・サービスの分野」は、この両方の取引をカバーするように指定すべきである。上記の例でいえば、B to Bの部分について「広告業」などを、B to Cの部分について「化粧品」などを指定することが考えられる
- 他人に商標を使用させるということは、商標使用許諾(ライセンス)をするということである。商標法上規定のあるライセンス(専用使用権、通常使用権)は、登録商標と同一の商標、同一の指定商品役務に限られるため、「他人に使用させる商標とその対象商品・サービス」を確実に指定しておくのはもちろん、常に実態とズレがないかをチェックし、ズレがあれば商標登録の内容を適宜見直す必要がある
(なお、契約上、類似の範囲の商標使用についても事実上のライセンスをすることはできなくないが、いろいろとデメリットがある。長くなるのでここでは割愛するが、「類似範囲でカバーできてればいい」と考えるの危険であると覚えておいてほしい) - 他人に活用してもらう商標であるとはいえ、あくまでも自分のブランドの商標であるということを忘れてはならない。商標を使用させる「他人」はきちんと選び、また必要に応じ管理し、他人の行為により自分のブランドがイメージダウンしないように注意する
- 登録商標を不使用を理由に取り消されないようにするためには、登録商標をきちんと使用していることを証明できなければならない。この点、他人に使用させる商標の場合には、その他人の協力が不可欠になるため、ライセンス契約の中で協力義務を課しておく
なお、いわゆるインフルエンサーの名前(商標)は、もちろんその個人のパーソナルブランドの商標としても強力に機能するが、インフルエンサーと呼ばれる所以は、彼らの名前がアドバリューブランド的にも機能しているからだと思う。
つまり、たとえば、彼らがオススメした商品は売れる、というのは、彼らのパーソナルブランドの信用をその商品(他人の商品)に付加しているということだ。
この意味では、コーポレートブランドも同様に、アドバリューブランドとしての性質を事後的に備えるという場合はあるはずだ。
その場合、本業ではない「商品・サービスの分野」についてもコーポレートブランドの商標を登録しておく必要性が出てくる。
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